現在取り組んでいる事件・裁判

日の丸・君が代訴訟(2009年1月号から)

国旗・国歌について学ぶことと東京都教育委員会による強制

10・23通達は「不当な支配」

 2003年(平成15年)10月23日東京都教育委員会は、すべての都立高校と障害児学校の校長に、卒業式・入学式・周年行事の実施方法についての通達を出しました。①舞台壇上正面に国旗と都旗を掲揚し(三脚は不可)国歌を起立斉唱するよう生徒を指導すること、②生徒も教師も国旗が掲揚されている舞台壇上正面を向いて着席すること(教師の座席を生徒の方に向けるのは不可、多くの障害児学校で行われていたフロア式・対面式も不可)、③国歌斉唱はピアノ伴奏によること(CD演奏は不可)、④すべての校長はすべての教師に個別の職務命令を発すること。この通達以降、全教師に起立斉唱又はピアノ伴奏の職務命令が出され、不起立・不伴奏の教師は懲戒処分を受けるようになりました(1回目は戒告、2回目以降は減給、停職)。

 教育は教師と生徒との人格的ふれあいによって行われます。どのような式典を行うかは生徒のことをもっともよく知っている教師や学校現場に委ねられるべきです。在日朝鮮韓国人の生徒、沖縄出身の人、クリスチャンの人など、日の丸・君が代の負の歴史や思想信条から君が代斉唱に抵抗がある生徒もいます。君が代を歌いたい生徒もいるでしょうが、君が代を歌わされることがどんなに辛いことか、その気持ちに思いをはせることが大切です。懲戒処分を受けた220名の教師は、10・23通達は教育に対する教育行政の「不当な支配」(教育基本法違反)として無効、懲戒処分も無効として東京地方裁判所に訴えています。

自ら学び自ら考える力の育成を

 高等学校学習指導要領は、卒業式・入学式等における国旗掲揚・国歌斉唱を定めていますが、同時に生徒が自ら学び自ら考える力を育成することの重要さをうたっています。卒業式は生徒自身が3年間の成長を見てほしいという熱い思いと誇りに満ちた場です。生徒自身が内容づくりに参加したり、障害児の特徴をふまえたフロア式の式典なども10・23通達以降はできなくなりました。生徒の個性や学校ごとの伝統を奪った画一的な式典の強制は、今や教育のあらゆる場面で教師の自主性と意欲を奪っています。国旗・国歌の学習は式典の中で強制されるものではなく、日頃の授業の中で学び考えていくものであるはずです。

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原爆症認定集団訴訟(2009年1月号から)

被爆の実態に合った基準を ~原爆症認定集団訴訟~

 昨年4月から「新しい審査の方針」に基づく原爆症の認定審査が始まりました。

 その中身は次のとおりです。
 ①以下の被爆態様の要件と疾病名の要件を満たす場合にはそのまま認定する(積極認定)。
 ア.被爆態様が、(1)爆心地から約3.5キロ以内の直接被爆か、(2)原爆投下後約100時間以内に爆心地から約2キロ以内に入市したか等の要件を満たすこと。
 イ.疾病名が、(1)悪性腫瘍(固形がんなど)、(2)白血病等の決められた疾病のいずれかであること。
 ②①に該当しない場合は総合判断とする。

 以前の(旧)「審査の方針」の下では、入市被爆者や約2キロ以遠の遠距離被爆者は全く救済されていませんでしたので、この「新しい審査の方針」は救済の範囲を広げたものです。

 しかし、この基準によっても、救済されるべき被爆者が救済されていません。

 たとえば、東京の原告に次のようの被爆者がいます。この方は、広島の被爆者で、4キロの地点で直接被爆し、その後8月8日(100時間以内)に入市しましたが、その入市地点は爆心地から約2.5キロでした。このため、ぎりぎり前記の被爆態様の要件を満たしません。しかし、この方は下痢や脱毛などの急性症状に苦しみ、長年様々な癌に苦しんでいます。

 被爆者は、この「新しい審査の方針」でも被爆の実態に合っていないこと、救済されない被爆者がいることを知っています。そのため、この基準により新たに認定された被爆者も喜ぶことができません。

 原爆症認定制度の戦いはまだ終わっていません。皆さんのご支援をお願いします。

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東京大気汚染公害裁判(2008年1月号から)

画期的な医療費助成制度を勝ち取る

 1996年に提訴した東京大気汚染裁判は、2007年8月東京高裁で和解が成立しました。

トヨタ東京本社前座り込み行動の写真

トヨタ東京本社前座り込み行動

 和解の第一の柱は、東京都が創設したぜん息患者のための医療費助成制度です(今年8月から開始)。公害健康被害補償法による新規認定は1988年に廃止されたため、認定を受けていない未救済患者は多額の医療費負担のため通院を控え、それがまた病気を悪化させるという悪循環に陥ります。633人の原告団は、この裁判の中で、国や東京都そして自動車メーカーの責任を明確にして、それら汚染者の費用負担により被害者を救済する制度をつくらせることを最終的な目標としました。

 2006年11月東京都が制度の提案をした後(5年間分の予算は200億円)、原告団は自動車メーカーに対し座り込みや要請行動を繰り返し、財源負担(5年間分33億円)に応じさせました。また、国に対しても、マスコミへの働きかけや首相官邸への直訴、国会前座り込みなどによって、公害健康被害予防基金から60億円(5年間分)の拠出を決断させました。まさに、たたかいによって勝ち取った制度です。

裁判所前宣伝行動の写真

裁判所前宣伝行動

 和解勧告の第二の柱は、東京都全域に対する公害対策の前進、第三の柱が解決金の支払いでした。東京高裁は12億円を被告メーカーらが支払うことを勧告しました。この金額は従来の大気裁判の水準と対比すれば不十分なものでした。しかし、巨大幹線道路の沿道50mに救済範囲を限定した2002年の第一次訴訟一審判決の水準の約3倍で、裁判所が実質的に面的な救済に足を踏み出し、自動車メーカーの責任を前提とした水準であると評価しうるものでした。そして原告団は、「この制度を待っている患者が大勢いる。一刻も早く解決して制度を実現するのが私たちの役割だ。」と考えました。

たたかいは続く

 勝ち取った医療費救済制度は5年後には見直しを行うこととされています。この医療費救済制度の周知徹底と患者の組織化を進め、さらに国レベルの全面的な救済制度への道筋をつけていくことをめざして、今新しいたたかいが始まっています。

 皆様方のいっそうのご支援をよろしくお願いします。

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