取扱業務
離婚について
離婚の問題に直面すると、自ら離婚を検討されている方にとっても、相手から離婚を切り出された方にとっても、精神的な負担が大きい中で、子どもの事や、財産のことなどを考えていかなければなりません。
離婚の相談を受けるにあたって、よく受ける質問をQ&Aにしましたのでご参考にして下さい。また、より具体的なことについては、お気軽にご相談いただければと思います(法律相談のしかたについてはこちらをご覧ください)。
離婚 Q & A
- 離婚をするには、どのようにすればよいのでしょうか。
- 離婚するときにどのようなことを考えなければなりませんか。
- どのような場合に離婚ができるのですか。
- 婚姻を継続しがたい重大な事由が認められるのはどのような場合ですか。
- 性格の不一致で離婚できますか。
- 夫が出て行ってしまいました。すぐに離婚した方がよいのでしょうか。
- 親権者・面接交渉はどのように決めるのですか。
- 養育費はどのように決めるのですか。
- 財産分与はどのように決めるのですか。
- 慰謝料を請求したいのですが。
- 内縁関係でも離婚と同じように考えればよいのですか。
Q1. 離婚をするには、どのようにすればよいのでしょうか。
夫婦で話し合いができる場合には、離婚届を作成して役所に提出すれば離婚をすることができます(協議離婚)。
相手が離婚を拒んだり、離婚の条件について折り合いがつかない場合には、家庭裁判所に離婚の調停を申し立てることができます(調停離婚)。調停は、調停委員が間にたって、話し合いの調整をしてくれる手続きです。
調停を行っても、離婚が成立しない場合は、家庭裁判所で離婚の裁判を提起することができます。ただし、裁判で離婚が認められるのは、民法で定められた離婚原因(民法770条1項)がある場合です(Q3)。裁判の中で、和解による離婚をすることもあります。
Q2. 離婚するときにどのようなことを考えなければなりませんか。
離婚する時に、未成年の子どもがいる場合は、子どもの養育をする親権者を決めなければなりません。また、養育費、離婚後にお子さんと会う(面会交流)ルールを決めるのが適当です(Q7、Q8)。
また、夫婦で築いてきた財産をどのように分けるか(財産分与)についても検討する必要があります(Q9)。
夫婦がそれぞれ支払った厚生年金・共済年金の保険料納付記録を合算したものを分け合う制度(年金分割)もあります。
離婚の原因を作った原因が相手方にある場合には、慰謝料を請求することもできます(Q10)。
別居している場合など、離婚が成立するまでの間、収入の多いほうの配偶者から少ないほうの配偶者に対して婚姻費用(夫婦が通常の社会生活を維持するために必要な生計費)を求めることもできます(Q6)。
Q3. どのような場合に離婚ができるのですか。
協議離婚や調停離婚は、話し合いによるものですので、離婚の理由はどのようなものでもかまいません。
一方、裁判で離婚を認めてもらうには、民法で定められた以下の離婚原因(民法770条1項)が要件となります。
①配偶者に不貞の行為があったとき
②配偶者から悪意で遺棄されたとき
③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
⑤その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき
Q4. 婚姻を継続しがたい重大な事由が認められるのはどのような場合ですか。
配偶者からの暴行や虐待などがある場合には、認められやすいといえます。その他、性格の不一致や別居期間、親族との不和、相手方の借財などが事情として考慮され、最終的にはこれらの具体的な事情やその程度を裁判所が総合的に考慮して判断することになります。また、裁判では、証拠によって原因となる事実を証明する必要もあります。
Q5. 性格の不一致で離婚できますか。
それだけで裁判所が「婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたると判断することは難しいと思いますが、別居していてその期間が長くなれば、離婚もそれだけ認められやすくなります。もっとも、話し合いによって解決することもありますので、調停などを利用して離婚の話し合いをするのがよいでしょう。
Q6. 夫が出て行ってしまいました。すぐに離婚した方がよいのでしょうか。
Q2にも書きましたが、別居している場合など、離婚までの間、収入の多いほうの配偶者から少ないほうの配偶者に対して婚姻費用(夫婦が通常の社会生活を維持するために必要な生計費)を求めることができます。
夫の収入で生活をしていた(夫の収入の方が多い)のであれば、まずは婚姻費用の請求するために、調停の申立をしたほうがよいでしょう。
Q7. 親権者・面接交渉はどのように決めるのですか。
どちらが親権者になるかについては、話し合いで決めることになりますが、合意が成立しない場合は、裁判官が諸事情を踏まえて、どちらが親権者になるのが子どもの利益になるかという観点から決定します。乳幼児については母親が主に子どもの養育を行っていますので母親が親権者になることが多いです。また、別居しているような場合は、同居親が現在養育していること、環境が変わることについての子どもの負担が考慮され、同居親が親権者になることが多いでしょう。
面会交流の具体的な内容や方法についても、まずは父母が話し合って決めることになりますが、話合いがまとまらない場合や話合いができない場合には、家庭裁判所に調停の申立てをして、面会交流に関する取り決めを求めることができます。まとまらない時は、裁判官が一切の事情を考慮して、決めることになります。月1回程度の割合で、面会交流をすることが決められることが多いです。
Q8. 養育費はどのように決めるのですか。
養育費については、夫婦相互の収入を考慮して、裁判所が一応の基準(養育費算定表)を決めていて、その範囲で決まることが多いです。
Q9. 財産分与はどのように決めるのですか。
財産分与で分ける財産は、夫婦で共同で築いた財産が対象となり、一方が相続した財産などは特有財産といって財産分与の対象になりません。
分与の割合は、2分の1となることが多いですが、一方がその財産の形成に大きく寄与している事情がある場合には、それを考慮して割合が決まります。
財産分与として、離婚後における相手方の生計の維持のための費用(扶養的財産分与)や慰謝料(慰謝料的財産分与)が含まれることもあります。
財産分与を求めるには、まずは財産があることを証明する必要があります。離婚を考えていて、相手に財産管理を任せている方は、早めに相手名義の財産を確認しておいたほうがよいでしょう。
Q10. 慰謝料を請求したいのですが。
不貞や暴行、虐待など、離婚原因を相手方が作ったのであれば請求できます。離婚の慰謝料の額は、離婚の原因となった相手方の態様や、婚姻期間、資産や収入、財産分与の額などを考慮して判断されます。
Q11. 内縁関係でも離婚と同じように考えればよいのですか。
内縁関係は、法律上の夫婦ではありませんが、できるだけ結婚をした場合と同様の効果を認められることがあります。例えば、破綻した場合は、離婚と同じように、慰謝料、財産分与、養育費などの請求が可能です。話し合いで解決できない場合は調停や裁判の申立をすることもできます。
内縁中にできた子どもは、母親の戸籍に入り、認知がなされていなければ戸籍上父親との関係はありません。内縁関係が破綻し、相手が任意に養育費の支払いを行なってもらえない場合、父親に認知をしてもらうか、父親に認知の請求を行い、親子関係を発生させ、養育費請求の調停などを申立てることが必要になります。